老後がこわい

老後がこわい (講談社現代新書)

直視したくはないけれど、見ておかないといけないんじゃない?というテーマを、「45歳独身女性」として精神科医の香山リカさんが綴ってらっしゃいます。最近の私のユウウツも将来への不安感に起因するもの大?のような気がして読んでみました。たぶん、独身女性の人たちは、多かれ少なかれ「このまま1人?」という不安を感じたり、この本に書かれている事柄を考ることはあると思います。

目次
第1章 ひとり暮らしの友の死
第2章 “終の棲家”は必要か
第3章 いつまで働けるか
第4章 親の死はどう乗り越える
第5章 「介護は家族」が主流の中で
第6章 病気になると何がたいへん?
第7章 ペットを失う時
第8章 孤独死だなんて言われたくない
第9章 「私らしいお別れ」なんてあるのか
第10章 自分のための葬儀・遺骨処理を
あとがきに代えて―愛する人がいる人生もいない人生も

目下ワタクシのイッシューは第3章。香山さんが言及された事例は、福利厚生がしっかりしたっぽい会社の正社員女性なんですが、今どきの中小企業は、たとえ正社員といえども社会保障は限りなくシンプル、お仕事はてんこもり、お給金はギリギリ…な感じです。女性が働く形態も派遣やアルバイトや業務請負などさまざまで、でも1つ言えることは、必要なのは「働き続けること」。持続可能な働き方と働く場所の模索。
収益構造がしっかりしている組織で働くのとはちがう、共済や企業年金などで今働いているお金をプールできない働き方をしているんであれば、やっぱりできるだけ元気で、ストレスをためず、自分にダメージを与えないで生きていけるように訓練しないとなぁ、なんて思いました。

第4章の「親の死」も。親を看取るということは、大仕事だと思います。幸いなことにワタシの両親は健在で、別に暮らしてはいるものの、正直、親が生きてるからこの年まで独身でいられるという面もあると思います。とはいえ、いつか親は死ぬし、そのときまで彼らに「生きててよかった」と思うことがたくさんあるといいな、と願うばかり。そして自分は親の死にも動じないように訓練しないとなぁ、なんて思いました。

女性ひとりで「どうしよう」と思うことって、家が借りられなく/づらくなる(第2章 “終の棲家”は必要か)とか、入院したときに保証人はどうする(第6章 病気になると何がたいへん?)とか、いざというときに慌てないよう手当てを講じておくことが必要なのかな〜と思いました。

ワタシは1人ぐらしを始めるときに、「自分は腐乱死体にだけはならないようにしよう」とそれだけはキモに命じて(いるワタシってちょっと悲しい・笑)いたんですが、この本を読んだら、汚部屋の後始末を「しかたないわね〜」と片付ける友人の話などが出ていて、自分の力が及ばない形で死が訪れることもあるんだし、できるだけのことはして、あとは天命…と思っていた方がいいのかも、と思いました。(とはいえ、数すくない友人諸君に頼ろうとは思っていないので、安心してくれたまえ)

不安感が募ったときに、自分の抱える問題点を1つずつクリアにして整理できる人には良い本かもしれません。ワタシは真剣に読み込むと、立ち上がれなくなりそうでしたので、こうしてとりあえず考えたことをメモにして外に置いておきます。

「いつまでも1人でいるってさみしくないですか?」と年下の友人に聞かれたりします。「いつまでも」はいいすぎだろー、と心の中で呟きながら、でも、誰かと暮らす予感が全くないのも確かなので、う〜んと唸りながら後ずさってます。

まぁ、あれだ、「四十にして惑わず」を目指して。どーどーと、ずーずーしく生きてまいりましょうぞ。