演目

さて、真打(というのだろうか?)のお三方の演目は、女性の講談師・神田綾音さんが語る「おいしい水」から始まりました。えーとこれは、いつまでも若くいらっしゃる尼さんのところにある不思議な水のお話です。普請を手伝ってる大工さんが、尼さんの留守中に黙って戸棚の水を飲んじゃった。すると、大工さんが若返る。長屋に戻るとおかみさんが、それならワタシも行こうじゃないかえ…と。ウワサに聞き耳を立てていたおかみさん連中と一緒に、その「おいしい水」を目指したのですが…綾音さんは、まぁ表情が豊かで、長屋の連中をほんとにイキイキと演じられていまして、可笑しかった。
次は、一龍齋貞山さんの「麹町三軒家の由来」。時は四代将軍家綱の頃。大久保玄蕃と関わりをもった職人さんたちが、ひょんなことから大久保様の屋敷に招かれ「市井の話」をすることになります。これは、「市井の話」が、真をついている、ということだと思うんですけど、いわゆる江戸っ子が、位の高いお武家さんの屋敷で「こりゃしまったお手打ちかも」とあたふたする様がなんともおかしく。そして最後にお殿様が「かなえてあげよう」と彼らの望みを聞くのですが、その望みが…ワタシは、彼らの望みのかしこさに感心しました。
さて、最後は、我らが貞心先生の「玉菊燈篭」。吉原のおいらんと、江戸に出てきた大和郡山出身の職人さんとの悲恋のお話。筋を言ってしまうともったいないので、あえて書きませんが、二人の健気な様がなんとも…クライマックスまでもってゆく貞心先生が巧みで、最後は目頭が熱くなりました。なんていうんですかね…誰もが誰かのことを思ってしたことなのに、すれ違いが重なってゆく哀しさもあり、それでもやっぱり人を思うことって捨てたもんじゃないなって思わせるまぁあるい語り口が、ワタシにはたまらなく良かったです。約1名「むかっ」とくる登場人物もおりますが…
普段、ともすればつんつんとがった話し方をするワタシにとって、「語り」のやわらかさは素晴らしく、日本語っていいなぁという気持ちになりました。人に何かを伝えることを芸にされている、という人の語りは、丁寧で心がこもっています。あー、よかった^^
次は、クリスマスの日に赤穂浪士のお話を聞きに行こうかな^^その頃仕事が詰まってそうな気がしますが^^(実はキョウフです〜)