北オセチア共和国の学校で起こったこと

今日、N響アワーがロシア音楽の特集で、なじみの曲も多かったので寝そべりながら聞いていました。グリンカ、ムソルグスキ−、ボロディンにつづいてチャイコフスキーのスラブ行進曲の後。アンコール曲がおなじくチャイコフスキーの「小行進曲」だったんです。行進曲というと勇壮な曲になりがちですが、この曲は、木管楽器やトライアングル、木琴(?)などで、すずやかなコロコロとした小さな音を奏でていて、泣きたくなるくらいかわいらしい曲でした。この曲はたぶん、こどもたちのためにかいた曲だったのではないかなーと思います。
この曲を聞きながら、思ったことを書きます。

チェチェン共和国からのロシア軍撤退を求めて、北オセチア共和国のシュコーラ(日本の小学生から高校生くらいまでの生徒が行く学校)に、チェチェン人を主体とする過激派が人質をとって立てこもり、300人以上もの人が犠牲になりました。ワタシは、どちらかといえばチェチェンの人に同情的であると思います。エリツィンの頃もプーチンの頃も、チェチェン対策は政権維持に使われていたと思うし、テロ撲滅といいつつ民族浄化ともいうべき虐殺が行われたと言われていることも知っています。強行突入が行われる前日、NHKの解説で「テロに対して国際的に団結して…」と言ってるのを聞いて、一致団結してテロリストと目された人たちがいなくなるまで叩き潰すのか…と暗たんとした思いで聞いていました。
そしてまた、強行突入(3日)の後の新聞報道で、チェチェン独立派も二つに分かれていて、今回は中でも強行派のバサエフ司令官が企てたものであるらしいと知りました。新聞記事によると、この人たちは独立が目的というよりも、テロ行為そのものが目的に転じているらしい、とも。
いえね、ワタシはよくわからないんです。8月末には、チェチェン共和国大統領選挙があって、不正が行われて、親ロシアの傀儡政権になったとも聞いています。そのことに絶望的になって暴発しているのだと、前後におこった飛行機墜落や地下鉄自爆などを見ていました(けして肯定してるわけではないですよ)ずっと思っていたのは、他に方法はないのかということでした。チェチェンの人々は、それまでの職業をやめて、北の戦線に通っているともいいます。それこそ戦争が日常になっているわけです。たぶん大体の人はどこかで「もうやめようよ」って思っているのではないかと思います。なんだか、ネット上にはチェチェン人がロシア兵の首をはねたファイルとか出回っていて、残忍凶悪な民族というイメージが流布されているのですが、(これに関しては、90年代末のロシア政府によるイメージ操作という説もあります)もともとチェチェンの人は、対外的に攻めていったことはなかったといいます。
わからないながらも、あのコロコロとした小さい者たちの行進曲を聞いて、ロシアの街角でみた子どもを慈しむお母さんやおばあさんの姿を思い出しました。きっと、どこの国の人たちも小さいものをかわいがる心持ちは一緒だと思います。どんな戦いにも大義名分はありますが、小さい者の命を守るのは、どんな「正義」よりも上にあるのでは。だから、みんなで「もうやめようよ」っていいましょうよ。
どうしても戦争をしたいブッシュとかプーチンとか小泉とか、今回のバサエフとかには、イタリアに「格闘ラグビー」というのがあるそうです。ボールを持ってる人も持って無い人も、反則なしで心行くまで殴ったり蹴ったりできるゲームらしいですので、どうぞ心ゆくまで、他人を巻き添えにせずに戦って、男っぷりをみがいてください。