ドラべ症候群の子どもたちを助けたい。

 

この記事では、友人のお子さんがかかったドラべ症候群という病気について説明があり、そして、その病気にかかった子どもたちに必要な「Buccolam (ブコラム)」という薬を早く承認してほしい!と訴えています。ドラべ症候群というのは、乳幼児期に発症するてんかんの一種です。私は、てんかん患者ですが、正直この記事を拝見した当初、ピンとこないところがあったので、色々調べてみました。1人のてんかん患者として、てんかん発作がどのようなものか、そしてなぜ「ブコラム」が必要なのか、私なりの考えをお伝えしたいと思います。

「 ドラべ症候群」という名前を私は知りませんでした。かつて「乳児重症ミオクロニーてんかん」と呼ばれていたそうで、そちらなら私も聞いたことがありました。乳幼児だけでなく、成人するまで続くことなどから「 ドラべ症候群」と名付けられたそうです。乳児のてんかんの診断は難しく、ふつう脳波に現れるのですが、1年ぐらいの乳児の場合、脳波は正常の場合もあるそうです。専門医でないと、診断をつけるのは困難なように思います。

まず、てんかん発作は実に様々です。共通するのは、始まるのはいつも突然で、けいれんや意識を失うなど、自分の身体が自分でコントロールできなくなる=身体が危険にさらされる、ということです。ふつうは10種類以上の抗てんかん薬からタイプにあった薬を選び量を調節しながら発作が起きないようにコントロールします。てんかんのタイプを見誤ると、悪化する場合もあります。また、薬が効きづらい「難治てんかん」があり、「 ドラべ症候群」はその中でも非常に抗てんかん薬が効きづらい病気です。そして最も危険な症状が、1度発作が始まったら止まりにくい「てんかん重積」を起こしやすい、ということです。さらに発作が長くなると急性脳症を合併することもある、と。

私の場合、けいれん発作を起こす時間は大体2分ぐらいです。右足から始まり、ものすごい強い力で身体がけいれんをおこします。縄でガチガチに縛られ、すごい力で何十回と床に叩きつけられるような感じです。呼吸がうまくできなくて、言葉が出ません。たすけて、と言いたいけれど、たすけて、と言えません。それが2分間です。とても長く感じます。シぬかと思います。

でも、「てんかん重積」はそれが10分以上つづく状態です。長ければ長くなるほど、発作は止まりにくくなり、止っても、また次の発作が始まります。「 ドラべ症候群」のお子さん(成人の方も)患者さんは、このてんかん重積を起こしやすく、発作が長く続くことで命を落とす人もいます。発作が長く続けば、それだけ脳にダメージを与えます。ですから、1秒でも早く発作を止めたいのです。そして、即効性があるのは注射です。これは病院でないとできません。しかし、救急車を呼んで病院に着き、治療を始めるまで約50分かかるそうです。

そこで、「ブコラム」です。ブコラムは製品名で、ミダゾラムという薬液がシリンジに入っていて、口の中に入れて使えます。海外ではそのように使われています。そして、日本の病院では、ミダゾラムは静脈注射という形で、すでに使われているのです。

なぜ、処方薬として承認されない?これさえあれば、助かる命もあったはずなのに!という強い思いがなんとか形にならないだろうか、と思います。海外でも、ミダゾラムは呼吸を抑制するので、3~6月の乳児は経過観察や急変の対応ができるように病院内で使用するそうです。アメリカでは救急搬送時に投与が可能であるそうです。

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私はてんかん患者なので、どうしても自分にひきつけて考えてしまいます。てんかん重積が起る可能性がないとはいえません。先日、職場で発作を起こし、救急車で運ばれました。久しぶりに起こしたので、脳がかなりスパークし、発作のあとの麻痺が全身に及んだので、また来そうだなと思ってたら。やっぱり病院内で発作を起こして、後ろにばったり倒れて意識を失ってしまいました。髄膜腫(脳腫瘍)を再発しているので、考えたくはないのですが、発作が始まったら終わらなくなるのではないか、と恐怖で身がすくみます。

それを、小さな子どもが、乗り越えるにはあまりにも辛すぎる。ブログ記事に戻りますと、患者さんの親御さんが「命が 奪われるかと思った」という恐怖が、そして「その薬(ブコラム)で病気が治るわけじゃないから」という言葉が、身に迫ります。

ドラべ症候群の発作をコントロールするのに、どの薬が適切か、遺伝子レベルでの研究が進んでいるようです。1度起きた発作を速やかに止めるブコラムのような薬も大事ですが、発作を予防する抗てんかん薬も大事です。薬で抑えるのは非常に難しい病気のようですが、新規の抗てんかん薬の導入も進んでいるので、相談できる良い専門医と出会って治療を進めていけるよう願っています。

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