ロシア少年の軍事訓練②

検索でこられる方が多いので、続きを書きます。前記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/ponjpi/20070630
ワタシが違和感を持ったのは、「ロシアではあんな小さい子が軍事訓練をしなければならないほどコワイ国なんだ」的な番組の作り方をしてたからです。
番組の宣伝のキャッシュには「ロシアでは少年たちの軍事訓練が義務」とありましたが(公式ページにはその文はない)寡聞にして、ロシア少年の軍事訓練義務、については知りませんでした(探してみたけど、義務について書かれたページはみつかりませんでした)。ロシアの徴兵制度は18歳から2年間(これは義務)でも、良心的兵役拒否で代替労働が認められるようになりましたし、徴兵制度では新兵いじめなどの問題があるので、期間が1年に短縮されるなどの動きが出ています。

もう1点、疑問に思ったこと。それは、「サーシャ君がジュコーフスキー市の伯母の家に引き取られなかったら、軍事訓練などしなかったのではないか」ということです。ロシアで少年たちに軍事訓練を施す民間機関は20、ナレーションを追いきれず前回の記事に書かなかったんですが、他のblogで確認できたところ、実際に訓練を受けている少年たちは約3000人。

モスクワ州(モスクワ郊外・モスクワ市は含まず)には、現在、ジュコーフスキー市を含め185都市あります。http://dvor.jp/subekt.podmoskove.htm
この都市全てに少年用の軍事訓練施設はありませんし、番組のVTRを見ると授業の後に訓練に参加しているようですので、少年が通える距離にあると考えるのが妥当だと思います。果たして、電車で通わなければならないような場所に施設があっても、サーシャ君は訓練に参加するのか?あるいは、寄宿生活をしてまでも訓練に参加するのか?ワタシには疑問です。

民間の機関、については調べてもよくわからなかったのですが、「非常事態省」の施設を使っている、とありました。非常事態省は、「戦争やテロに対応する」で間違いはないのですが、正式名称は「ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省」という省庁です。

ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省
ロシア連邦の民間防衛、災害対策等を管掌する機関。ロシア版FEMAともいえるが、単なる統制機関ではなく、実働部隊であるロシア民間防衛軍を保有している。

ロシア民間防衛軍(Войска гражданской обороны)とは、ロシア連邦の民間防衛組織。民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省(非常事態省)に所属する。列国の民間防衛組織と異なり、常備軍の形で存在している。

現在、19,500人の軍人が勤務しているが、2011年までに非軍事化、消防機関への移行が計画されている。

ロシア非常事態省のHPを見ると、青少年に対し、レスキューの活動などをしているようです。
http://www.mchs.gov.ru/10615/
非常事態省のタスクについてはこちら。
http://www.mchs.gov.ru/article.html?id=11071

以上のことから、ワタシは「世界が100人の村だったら」のロシア・サーシャ君編には違和感を持ちました。