チェブラーシカとは?

チェブラーシカ [DVD]
ソ連時代、1969年から10数年の間に、たったの4本だけ作られたパペットアニメーションです。南国から来たナゾの動物「ぱったり倒れやさん」という意味のチェブラーシカと、友人のワニのゲーナが主人公です。もっともウスペンスキーの原作では「ワニのゲーナとともだち」という題で、ゲーナが主人公だったんですヨ。

チェブとゲーナの関係は、友人なんですが、ゲーナがチェブの保護者な感じで、そのおかげでチェブが愛らしく見えてるんだとも思います(笑)。たとえば、2人が旅行に出たときに車中切符をとられ、汽車から放り出されます。ゲーナは大きなトランクとカバンとケーキの箱を持って、線路を歩いて帰ろうとします。そんなゲーナにチェブラーシカは聞くのです。「ゲーナ、荷物持つの大変?…いいこと考えた。ぼくが荷物を持つから、そのぼくをゲーナが持ってよ」…チェブと荷物を抱えて大変なのはゲーナなのに、観客は「く〜、チェブかわいい」と身もだえするのですヨ、わはは。

しかし、ですね、ブレジネフ時代に作られたこのアニメーションは、登場人物、ひいてはそれを見ている観客たちにとことん優しいのです。

唐突にチェブがゲーナに「ピオネールに入りたい」と駄々をこねます。(ピオネールはソ連時代のボーイスカウトのようなもの。認められないと入団できない)案の定、入団をつっぱねられます。その後、小さな子どもたちが、遊び場がなくいたずらばかりするのをゲーナは見かねて、どこかから、コンプレッサーを持ってきて、子どもたちの広場を作ってしまうのです!(入団条件の一つ、鳥の巣箱づくりもできなかったぶきっちょさんたちが・笑)そこへ警察官が、大変紳士的に「ゲーナさん、コンプレッサーが盗まれました。このコンプレッサーを持っていったのはアナタですか?」とたずね、ゲーナたちが広場を作ったと知ると「私の方で、これは何とかしましょう」と持って帰ってくれるのです。これは、アイロニーだったんだろうな(警察は犯罪者を「作り出す」人たちだったみたいですから)と思った次第です。

そんなわけで、チェブラーシカは単にキャラクターとしてカワイイだけではないのです…