ポスター展

通算すると旅に出て6日目になります。プラハに戻ってきて2日目、もう1度、シナゴークを目印にして旧ユダヤ人居住区にトライしました。ところが、またもや何を間違ったのか、今度は気がつくとカレル橋のたもとにおりました。ワタシの脳内マップを書き出してみます。正当な地図と比較すると、どれだけいい加減なイメージで移動していたかお分かりいただけるかと思います(笑)

さて、カレル橋はプラハ城に通じる観光の名所で、観光客がたくさんいます。橋のたもとにはギャラリーがあって、そこで「Power of Images」という共産主義時代のポスター展をやっていると小春(仮名)に教えてもらっていたのを思い出し、行ってみました。

チェコスロバキア第二次世界大戦後の1948年から1989年まで共産主義体制でした(1993年にチェコスロバキアは分離します)。中世の町並みが残っているんですが、共産主義の時代を思わせるものはほとんどみつかりません(ワタシが見つけられなかっただけかもしれませんが)。

そんなわけで、ポスター展にはその片鱗が見受けられるかと、かなり期待しながら行ったのですが…。ギャラリーは、内装としては十分お洒落で、その分ちょっと嫌な気がしました。受付には、若い女性がカウンターの中にいて、もうひとり男性が寄りかかり、かなり大きな声でおしゃべりをしていました。

チケットは450コルナ。展示室に入ると。ソ連フリークとしては「よく見るポスター」が全体の7割くらいを占めていました。1930年代初頭までのポリティカルなポスターからはじまり、第二次世界大戦期のソ連チェコのプロパガンダポスター、50年以降の計画経済に関する「みんなで一緒に頑張ろう」ポスターなどが、時代を追って展示されていました。ポスターは政治宣伝のメディアとして扱われていたのですが、とくに1930年代の初頭までのものは、ロシア・アバンギャルドの影響もあり、タイポグラフィーや配色などがかなりイカスのです。

それはよかったんですが、反体制派(ソルジェニーツェンなど)の言葉が、イギリス人もロシア人もチェコ人もいっしょくたに英文でコピーとして配置され、なんというか、興味の無い人にはソ連チェコのものの区別がつかないような展示になっていました。それと、チェコのポスターは複製の際、モアレが出ているものが多くあって、チェコのオリジナリティーを求めて入ったワタシとしては、かなーり不満なものでした。デザイン的にもソ連のものの方がインパクトがあり、これが抜けたら展示としては成り立たないかもしれないな…と思いました。

チェコのグラフィックの実力は、本当は大したものなのです。何点かはデザイン的に優れたものもありましたが、全体的にはしょぼい印象でした…翻って考えれば、力のあるデザイナーは体制側についていかなかったのか、質量ともにプロパガンダの遺産たるポスターの保管が少なかったのか…ということを考えながら見てました。

見る環境としてはかなり不満がつのりました。受付スタッフの嬌声が響き渡っていました。ギャラリー全体にテキトーな仕事感が漂っていました(怒)。

ショップには、いかにもなデザイン関係の本が並んでいたので、ワタシの求めるものはここにはなかったのだろう…と悄然とし、それでもワタシが見落とした何かが図録にあるかも、と思って重たい図録を購入してしまったのでした。