ブラックシアター

チケットカウンターにて。
「400コロナだって」「高いと思う?」「芝居の質によるよね」「そういえばイタリアで見た芝居は」「ああ、あれはひどかった」「大体音響がねぇ」…

二人のおじさまの話題が演劇論に発展しそうになり、チケットカウンターのおねえさんが困った顔でワタシを見ています。ワタシも首をすくめていると。

「僕らのギロンをとめてくれなくちゃ」「そのために君がいるんだから」「ねえ、この芝居見たい?」「見たい?」と畳み掛けるおじさまたち。いやワタシはあなた方を見ているほうが面白いかも…と思ったのですが、このまま芝居が終わるまで居座るのも迷惑だろうと、率先してチケットを買いました。400コロナは大体2000円くらいです。

チェコは、人形劇やパペットアニメーションが盛んです。そして、ブラックライトシアターとは、おそらくその流れの延長線上にあるんだと思います。黒背景+ブラックライトの効果を活かした劇やパフォーマンスで、人や小道具が宙に浮きながら幻想的な光景をかもし出します。見えない手に操られているよう、に見えるのです。

今回は「Image」という旧市街広場にほど近いシアターへ行きました。その日の演目は「BlackBox」。男女の盗賊カップルがヤクと現金を盗み、権威主義的な警察官に追われる寸劇の場面転換ごとにパフォーマンスがはさまれる、という仕立てです。パフォーマンスについては、写真をごらんになった方が早いでしょう。

ブラックシアター「Image」サイトより (ぜひご覧くださいまし^^)
BlackBox
http://www.imagetheatre.cz/frset.asp?aktiv=black_e.htm&top=top_e.htm
BlackBox」の写真をもっと見られるページ
http://www.imagetheatre.cz/frset.asp?aktiv=black_e.htm&top=top_e.htm

寸劇はパントマイム。女性盗賊は美人でとっても魅力的。相方の男性盗賊は、表稼業は場末のピアニスト。そして、われらがヒーロー(笑)警察官は、背が高くハンサムで、警察官たることに誇りをもっていて、だけどお間抜け。この間抜けさが、話を運んでゆきます。盗賊を捕まえそうになると、女性の色香に迷ったりお酒に酔ったり、取り逃がすのです。警棒が「男性の象徴」で、小道具としてきわどい使われ方をするのですが、こういう笑いは万国共通なのかな、と思ったり。クライマックスが近くなるにつれ、幻想的なパフォーマンスが効果として話に割り込んできます。

ワタシたちは前から2列目で見てたのですが、客席の雰囲気は最高で、皆フレンドリー。客席からお客さんをピックアップして舞台に上げてしまうのです。美人の盗賊と一緒に牢屋に閉じ込められたサラリーマンは、周りの友だちに冷やかされて、終わった後は大興奮でした。

シアターを出て、広場に戻ると、パトカーから警察官が出てきました。ワタシたちは大笑い。まだお芝居が続いているような余韻を楽しみました。