カフカな町

チェスキークルムロフからバスでプラハに到着。といっても、終点のバス停から地下鉄を乗り継がないと次のホテルまでたどり着けません。重たい荷物を引きずって、地下鉄からトラムに乗り換えようと表に出ると。

方向がわかりません。

ええ、ワタクシはトラムNo.8を利用するのです。わかってます。でもどっちの方向がホテルの方向なのか皆目見当がつかないのですよ。えい、とココロを決めて立った停留所には…なぜかトラムがとまりません。目の前をすーっと通過してゆきます。

50m先に、どうやら停留所が移動していたようでした。走ってトラムを追いかけ乗り込もうとしましたが。もしかしたら反対方向かも?と な ぜ か 思い直し、道路の反対側の停留所にもう一度走ったのでした。ところが。トラムに乗ってしばらくしたら、「国民劇場」のアナウンスが。チェコ語の会話集に載っている「国民劇場=ナードロジーディバドロ」の単語は覚えていたのです。まったくホテルとは反対方向です。

荷物を転がし、反対方向のトラムに乗り換え、やっと「最寄」の停留所で降り立ちました。「最寄」?というには随分坂道を歩いたような…坂の底にめざすホテル「カフカ」がございました。もちろん、名前に惹かれて予約したのです。

チェックインしようと受付に行くと。おばちゃんが、電話で話しています。ワタシは礼儀正しく電話が終わるのをじっと待っていました。ところが。終わりません。終わらないどころか、おばちゃんはワタシを横目にタバコを吸いはじめ、受話器を離そうとしません。ワタシは一旦トイレに行きました。戻ってもおばちゃんは受話器を置こうとしません。カウンターをコンコンコンと控えめに叩き催促しました。終わりません。ですのでワタシもタバコを吸い始めました。おばちゃんは、灰皿をワタシの方に押し出しました。でも電話は終わりません。一体何を話しているのやら。

やっと電話を切り上げ、おばちゃんはワタシに言いました。「あなたの部屋はこの通りの向こう側にあるカフカ2にあります」。カフカ2。別館があるとは聞いていません。ワタシは、エントランスに旗が垂れ下り、中庭のあるネットに載ってたホテルに泊まりたかったざんすよ。しかもおばちゃんは、「ヒーターは使えないですから」とにこやかに言います。この時期、寒暖の差が激しく、ヒーターなしで夜をすごすには勇気が要ります。抗議の声を上げようにも、おばちゃんは、また受話器を取り上げてしまいました。

カフカ2。内装工事をしているらしく、業者が出入りしています。ワタシは悄然と横をすりぬけ、階段を上がって最上階!へ。息があがりました。部屋に入りました。天窓があります。おしゃれといえないこともないのですが、試みに閉めようとすると。

閉まりません。

いえ、閉まったように見えるのですが、留め金まできちんと閉まっていないのです。夜はここから隙間風が入るに違いありません。ヒーターも使えず、今晩ワタシは一体どうすれば良いのでしょうか。
マッチ売りの少女にでもなれば良いのでしょうか。。。

(注:これは帰国後だらだらと書いている旅行記です)