さよならクルムロフ

熊を見わすれました。
チェスキークルムロフのお城には、熊がいると聞いていたのですが、前日お城に行った時は「何が何やら」状態で気がつきませんでしたの。午前11時のバスで発つ前にちょっくら見に行きました。

すると。前日道を教えてもらったおじさんと3度目の邂逅。「また会ったね」とすっかり旧知の様子にココロがのびやかになりました。城門の下(掘?)に熊ものびやかに背を伸ばしていました。

その後、博物館へ。受付で英文の小冊子を渡されました。展示は全てチェコ語だからです。地域の博物館というのはその国の言葉のみの展示が多いのですが、こういった小冊子を配るというのはとてもいいなと思いました。

チェスキークルムロフは、13世紀頃、塩の交易の中継点としてヴルダバ(モルダウ)川流域に出来た町です。2階に、18世紀の町の大きな模型がありました。ほとんど現在の町のつくりと変わっていません。ということは、18世紀の姿を私たちは見ていることになるのですね。

気がつくと小1時間ほど経っていて、受付に戻り小冊子を返却しました。図録がカウンターに並んでいましたが、チェコ語とドイツ語ばかりです。英語のはない?そうですかないですか…と未練がましくチェコ語の図録をめくりました。

きちんと読み込めてないから資料が欲しいんだけどな〜と哀愁を漂わせていると。受付のおじさまが、じーっと小冊子を眺めていて、いきなり「!」とワタシに押し付けました。これあげる、という感じで。「!」と喜ぶワタシ。でも、怒られないかしら大丈夫「?」と顔を見つめると、おじさんは、いいからとっておきな、というジェスチャ。破れ目を指差して、大丈夫、大丈夫と。この間、無言のやり取りでした。ジェクイユとお礼を言うのがやっとでした。

バスに乗る前、タバコとコーヒーが欲しくなりました。しかし、3時間半の行程の前に水分摂取はいかんいかんと戒めながら、町外れのスタンドを通りかかると。カウンターの中におねえさんが1人ぽつんといて、目があってしまいました。ついつい覚えたてのチェコ語を使ってみたくなり、こんにちは、コーヒーくださいなと言ってしまったワタシ。また、おねえさんも、熱いですよ気をつけてくださいね、お砂糖いります?と甲斐甲斐しくも健気な感じで、ワタシの覚えたていい加減チェコ語に一生懸命耳を傾けてくれるのですよ。

しかし、問題はトイレです。やっぱり3時間半前には行っておかねばなりません。でもそのスタンドにはトイレがありそうにもありません。おねえさんは「トイレッティ?ああ、トイレッティは中にあるわ」と、スタンドの中に招きいれ、ついでに荷物もここで見張っているから、と、本当にずっと見張ってくれていました。

こうした小さな出会いをお土産に、バスで3時間半揺られて、プラハへと戻りました。