人生には「まさか」という坂がある
という増田の記事を読みました。身体に不調があって色々いわれるととても不安になるだろうから、こんな経験もあった、ということで流してくれてもいいんだけど、でも、「そんなこともあるんだ」と思って、別の病院に行ってもらえたら、そっちの方がいいかな、と私は思います。そういうわけで、私の経験を書きます。長いです。
長いからまとめると、足に不調があって、整形外科に行った。原因がわからないけど1つずつ検査をしていき、時間が経つにしたがい症状がはっきりして、脳に腫瘍がみつかった、驚いた、という話です。
ある晩、畳に座ってドライヤーで髪をかわかしていたら、右足が急に「固まった」ように動かなくなりました。でも、すぐ動くようになったので、「これは気のせい」ということにしました。
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それから。お酒を飲んだ帰り道つまづいて右足をひねった。整形外科に行った。シップをもらった。しばらくして、またお酒を飲んだ帰り道、同じようにつまづいて右足をひねった。かかりつけのA先生は「お酒を飲んだ時は気をつけよう。でも、立て続けに右足ってちょっとへんだね」と言って、足首とひざのレントゲンを撮った。
それから2か月ほどして、急に右足が動かなくなることがあった。体感で30秒くらい。日をあけて、1度2度と続いたので、気のせい、ではなさそうだった。また、その整形外科へ行った。「うーん、わからないな」といって、A先生は、腰のMRIを撮るよう手配してくれた。(A先生の病院はクリニックでMRIはなかった)
初めて足が動かないことがあってから3カ月後。右足が短時間・急に動かなくなることが、だんだんと増えた。その頃、仕事がとても忙しかったので、変だと思いながら、すぐ戻るので、1カ月ほどやり過ごした。ただ、急に足が動かなくなるというのは、何かおかしい、うまく言えないけど右足がハングしたような感じだったので、バグった日時をメモしておいた。お酒を飲んだ時?寝不足?何か再現性がありそうだったけど、自分でもよくわからなかった。
先生はそれを見て、「物を落としたのは右手で持っている時?」と聞いてきた。言われてみると右手だった。先生は、脳のMRIを撮りに行くようMRI専門の病院に紹介状を書いてくれた。「すぐ、明日にでも絶対に行きなさい、そしてデータを持ってすぐにこちらに来なさい」と言った。
翌日、MRIを撮ってそのデータを持って先生のところへ行った。しばらくして、診察室に呼ばれた。私はそのときの先生の、哀しそうな表情を忘れられない。
その時、「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そして『まさか』だ」と小泉首相が言ったことばを思い出した。なんだ、「まさか」かバカバカしい、と思ってちょっと笑った。
夜道を帰るとき、「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そして『まさか』だ」というセリフが何度も何度もリフレインした。
翌日、A先生の母校の大学病院の脳神経外科へ行った。初めに見てくれた先生は、「髄膜腫です」と言った。私は、ずいまくしゅ、と繰り返した。「髄膜腫という腫瘍は、大体は良性です。ファーストチョイスは手術です」と言われた。
Y先生は即決ぶりに驚きながらも、「隣の部屋のO先生が執刀することになるから、O先生と話す前に検査した方が合理的だね」と言って手術前に必要な検査を手配してくれた。1日がかりで検査をして、O先生から病気についての詳しい説明や術式の説明を受け、手術の日程を決めて会社に行った。
社長「マジでww?」
私「マジです」
社長「マジでw?」
私「マジです」
社長「マジで?」
私「マジです」
社長「マ…分かった。詳しく教えて」
だいたい、こんな感じで色々な人を驚かせながら、治療生活に突入したのでした。