モネ展

混んでました。モネ、大人気です。土曜日の午後3時半頃に赴きましたが、入口からイモ洗い状態でした。

 

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係の方が先へと促していましたが、東京都美術館は地下1階→1階→2階とフロアの行き来は一方通行なので、手前からきちんと見たいというのが人情というもの。でも私は、あまりの混み具合に仕方ないと腹をくくってコーナーを飛ばし飛ばし見ました。

 

今回の展示はモネが86歳で亡くなるまで手元に残したコレクションを中心に構成されており、最初のコーナーは「家族の肖像」。残念ながらここはパスして、次の「モティーフの狩人」のコーナーから見ました。コーナー名は、旅をよくしたモネが旅先の風景を「狩人」のように描いたことにちなみます。

 

私が気に入ったのは、「霧のヴェトゥイユ」。霧に包まれたヴェトゥイユの教会が、おぼろげにセーヌ川の川面にその姿を映しています。また、オランダ旅行で描かれた「オランダのチューリップ畑」もよかった。空から雨のように降り注ぐ光が、風車を回し、赤いチューリップ畑と川べりの草々をゆらしています。

 

さてモネといえば「印象 日の出」です。東京で公開されるのは21年ぶりだったそうですが、残念ながら出展は10月18日まで。見逃してしまった。20日から特別出展となった「ヨーロッパ橋 サン=ラザール駅」を見てきました。濛々と立ち込める蒸気が冬を思わせます。印刷されている絵よりも実物の方がもっと青みが鮮やかでした。

 

モネは「睡蓮」が有名ですが、晩年過ごしたジヴェルニーの自宅の庭園で描いたものだとは知りませんでした。今回は「睡蓮と花-ジヴェルニーの庭」の部屋にて、モネが自らの手で育て描いた睡蓮をはじめとする水辺の花々が紹介されています。邸宅とバラの小道、日本風の橋、睡蓮の池などのイラスト地図がありました。「家がこんなに小さいのね」と言ってた方がいましたが、家が小さく見えるほど広いお庭だったのかと思います。

 

睡蓮を主題とした作品は200点ほどあるそうですが、今回紹介された中で素晴らしかったのが、68番から70番までの「睡蓮」です。オランジェリー美術館「大装飾画」の準備のために描かれたそうですが、水面の薄紫が印象的でした。

 

最後が「最晩年の作品」です。赤系の色が強く、白内障を患ったことと関係があるのかな、と思いましたが、「赤く熱い」睡蓮の絵は少し怖かったです。赤系の色味が強い「バラの小道、ジヴェルニー」は色とりどりのバラのアーチが奥へ奥へと連なり、明るい秋の景色のような、けれどもアーチの先には不安な気色を感じたりもしました。

 

モネは晩年まで健筆をふるったそうですが、夫人と息子に先立たれます。その後、家族を偲んで佇んでいたおいう「しだれ柳」の連作をみて、長く生きて愛する人たちを見送るのは寂しいだろうな、と思いました。

 

最初の「家族の肖像」をパスしなければ良かった、と後悔しました。