予備選のおススメ本

ロスノフスキ家の娘 (上) (新潮文庫)

ロスノフスキ家の娘 (上) (新潮文庫)

アメリカ大統領選挙イヤーにちょうオススメの一冊です。英国人ジェフリー・アーチャーが1982年に著した小説『ロスノフスキ家の娘』。ポーランド移民の娘が、民主党の下院議員・上院議員を経て、初の女性アメリカ大統領を目指すお話。話は11才の娘フロレンティナが父親に自分の決心を伝えるところから始まります。

「ニュー・ハンプシャーの予備選挙の結果がまあまあだったら、お前をとことん応援しよう。もしだめだったら諦めなさい」
「パパの考えるまあまあの線を具体的にいってみて」と間髪をいれず娘がいった。
父親はふたたび間をおいて、言葉を選んだ。
予備選挙に勝つか、総投票数の30パーセント以上を取ったら、破産覚悟で党大会までお前を後押しするよ」
『ロスノフスキ家の娘 (上) 』(新潮文庫

ニュー・ハンプシャーの予備選、今年は1月8日に行われます。アイオワ州が全米最初の党員集会を開くようになった1972年以降、この2州で敗れて党の指名を獲得した候補は2人しかいないという重要な州です。(なお、ここを落としても民主党の指名を勝ち取った1人ビル・クリントン前大統領)

アメリカ大統領選挙は、民主・共和党ともに大統領候補の椅子をめぐって、「予備選」で争います。党の指名を勝ち取るための選挙なので、このとき投票できるのは、各党の党員。州ごとに党員の票を得て「代議員」を獲得し、夏の党大会で獲得した代議員数が過半数を超えたら、大統領候補に指名されるのです。そして、両党候補および無所属の候補が本選で戦います。

というようなことを、『ロスノフスキ家の娘』を読むと生き生きとイメージできて、今年の大統領選も絶対に楽しめますので、オススメします。(選挙のことは下巻の終わりの方になります。でもその前も面白いですよ!)

さて、ワタクシは前回の記事で「代議員数も見なきゃね」と書きました。得票数で代議員が割り当てられるから、なのですが、各州、割り当てられてる代議員の数が違います。どこの州出身かでも、獲得できる数が違ってくるので引用しますと。

2008年アメリカ大統領選予備選挙 wikipedia
( )内が代議員数 
2008年1月 - 14日アイオワ(45)、19日ネバダ(25)、22日ニューハンプシャー(22)、29日サウスカロライナ(45)・フロリダ(185)
2008年2月5日 - アラバマ(52)・アラスカ(13)・アリゾナ(56)・アーカンソー(35)・カリフォルニア(370)・コロラド(55)・デラウェア(15)・ジョージア(87)・アイダホ(18)・イリノイ(153)・ミズーリ(72)・ニュージャージー(107)・ニューメキシコ(26)・ニューヨーク(232)・ノースダコタ(13)・オクラホマ(38)・テネシー(68)・ユタ(23)
(後略)

『ロスノフスキ家の娘』のフロレンティナは、奇しくもオバマ候補と同じイリノイ州選出でイリノイすべての票をかっさらいました。大好きな箇所を引用します。

ほぼ20年近く前、シカゴに着いた第一夜にフロレンティナを歓迎したミセス・カラッチが党大会の年のイリノイ民主党副委員長に選ばれて、イリノイ代議員団の評決を伝えることになった。

「わが偉大なイリノイ州が誇りをもってその179票のすべてを、イリノイ州の看板娘で、合衆国初の女性大統領であるフロレンティナ・ケイン上院議員に投じることをお伝えします」
『ロスノフスキ家の娘 (下) 』(新潮文庫

実際はどの程度の拘束あるいは支持があるのかわからないのですが、おそらくオバマ候補もイリノイ州でかなりの代議員を獲得できるでしょう。ヒラリー候補はニューヨーク州選出の上院議員ですので、232票分あります。
なお、ワタシのキライなエドワーズ君はノース・ダコダ選出の元上院議員です。略しているので興味がある方は上記wikipediaのリンクをクリックしてくださいね☆

で、党大会では代議員数の過半数をとった人が大統領候補に指名されます(同時に副大統領候補も決めます)。1度の投票で過半数をとる候補者がいなかった場合、「デッドロック」になります。代議員の数は党大会前に決まっているのですが、デッドロックを解除するため、3位以下の候補が自由投票をよびかけます。

2008年の民主党の有力候補は3名。単独過半数を得られる候補が出ればよいのですが、アイオワ州の僅差を見ると党大会では三つ巴になることが予想されます。

そこで、はい、エドワーズ君の動向が注目されるのです。エドワーズ君、さかんにヒラリー候補を攻撃しております。エドワーズ君支持者はヒラリー嫌いという調査結果もでています。仮に、エドワーズ君が党大会まで残り、3位だった場合、副大統領の椅子と引き換えにオバマ候補に票を与えるのかどうか。そこまで考えてヒラリー候補を攻撃しているのかどうか。そしてうっすらとオバマ候補もエドワーズ君に同調しているのも気になるところ。まぁ、初めから副大統領の椅子を狙う人もいないでしょうし、戦略としては最初に一人をつぶすというのはアリでしょうし。

というわけで、ぜひ『ロスノフスキ家の娘』を…。